日本なし・梨

産地・統計

熊本県では、県北の丘陵地から県南の盆地まで各地で梨栽培が行われています。
荒尾梨、菊池梨、玉東梨、芳野梨、吉野梨、小川梨などの産地があり、菊池川流域や金峰山周辺、八代平野東部、人吉盆地などの地形や気候を活かした果樹産地が形成されています。
温暖な気候と昼夜の寒暖差、水はけの良い丘陵地などの自然条件が、高品質な梨の生産を支えています。

集落・地区との経営体数(2020年)の列は、農林業センサス 第1巻 都道府県別統計書(熊本県)農業経営体 -農林水産省を参照。栽培品種は弊社の独自調査(現地調査・インターネット等)。

集落・地区ブランド名称経営体数(2020年)
①吉野村(八代郡氷川町・旧竜北町)
※吉本・大野・高塚・新田
吉野梨67
②山北村(玉名郡玉東町)
※上白木・二俣・白木・西安寺・原倉
玉東梨58
②芳野村(熊本市西区河内町)
※大多尾・野出・岳・東門寺・面木
芳野梨58
④西村(球磨郡錦町)
※錦町西
球磨梨31
⑤一勝地村(球磨郡球磨村)
※一勝地・三ヶ浦
一勝地梨・球磨梨22
⑥一武村(球磨郡錦町)
※錦町一武
球磨梨18
⑦迫間村(菊池市)
※市野瀬・大平・重味・豊間・西迫間
菊池梨15
⑧豊野村(宇城市豊野町)
※宇城市豊野町全域
豊野梨12
⑧小川(宇城市小川町)
※宇城市小川町のうち海東(北海東・西海東・東海東・南海東)・河江(河江・江頭・川尻・北新田・新田・新田出・住吉・南新田)・小野部田(北小野・北部田・中小野・南小野・南部田)・不知火(干拓地)を除く範囲
※小川・西北小川・東小川・南小川
小川梨12
⑩荒尾(荒尾市)
※旧清里村(牛水・高浜・水野)を除く
※荒尾・大島・宮内・宮内出目・原万田・万田・川登・菰屋・野原・金山・樺・府本・上井手・上平山・下井手・平山・本井手・一部・蔵満・増永・大平町・大島町・桜山町・昭和町・大正町・西原町・日の出町・四ツ山町・八幡台・緑ケ丘・住吉町・東屋形・海陽町
荒尾梨9

詳細

熊本梨・八園連(八代郡氷川町産・吉野梨)(右上)
新高・吉野梨(八代郡氷川町産・吉野梨)(左)
ふたみ梨(八代市産)(右下)
新高・JAやつしろ(八代郡氷川町産)(左上)
吉野梨(八代郡氷川町産)(右上)
吉野梨(八代郡氷川町産)(左下)
新高ジャンボ梨2玉入・JAやつしろ(八代郡氷川町産)(右下)
菊池梨(菊池市産)
荒尾梨(荒尾市産)(右上)
芳野梨(熊本市西区河内町芳野地区)(左上)
あきづき・芳野梨(熊本市西区河内町芳野地区)(右下)
玉東梨・玉東出荷組合(玉名郡玉東町)(左下)
新興・球磨梨(球磨郡球磨村一勝地)(左上)
豊野梨・豊野梨出荷組合(宇城市豊野町)(右下)

まず県北地域では、福岡県との県境に位置する荒尾市周辺が梨の産地として知られています。この地域は、かつて三池炭鉱を中心とする石炭産業で栄えた福岡県大牟田市に隣接しており、炭鉱関連の人口増加に伴って農産物の需要も高まりました。そうした背景の中で、荒尾市周辺の丘陵地帯では梨栽培が発展し、「荒尾梨」として知られる産地が形成されました。なだらかな丘陵地に広がる果樹園では、水はけの良い土壌と適度な寒暖差を活かした梨づくりが行われ、県内でも古い歴史を持つ産地の一つとなっています。

同じく県北の菊池地域では、菊池川流域に広がる菊鹿盆地(菊池盆地)が梨の主要な生産地となっています。阿蘇外輪山から流れ出た菊池川は、この盆地を潤しながら流れており、肥沃な土壌と豊富な水資源をもたらしています。こうした自然条件に支えられて、菊池市周辺では古くから梨栽培が盛んに行われ、「菊池梨」として県内有数の産地となっています。盆地特有の昼夜の寒暖差が果実の糖度を高め、香りの良い梨が育つ地域として知られています。

熊本市近郊では、金峰山周辺の丘陵地帯にも梨の産地が広がっています。玉名郡玉東町の山北地区は「玉東梨」の産地として知られ、古くから果樹栽培が盛んな地域です。金峰山の南北に広がる山麓の傾斜地は日当たりが良く、水はけにも優れているため、果樹栽培に適した環境となっています。また、熊本市西区河内町の芳野地区でも梨の生産が行われており、「芳野梨」として地域の特産品となっています。この地域は有明海に近く、温暖な気候と海からの風が果樹栽培に適した環境を作り出しています。

県南の八代地域・宇城地域にも、特色ある梨の産地があります。八代平野の東端に位置する砂川周辺では、平野から山地へと移り変わる地形を利用して梨の栽培が行われています。特に、八代郡氷川町の山地には県内でも大規模な梨産地の一つである「吉野梨」の生産地が広がっています。丘陵地に整備された果樹園では、昼夜の寒暖差を生かした栽培が行われており、地域を代表する果樹産業の一つとなっています。また、宇城市小川町では「小川梨」が栽培されており、地域の農業を支える特産品として知られています。

さらに、宇城市豊野町は「フルーツの里」として知られる中山間地域で、梨をはじめとする多様な果樹栽培が行われています。小盆地状の地形に囲まれたこの地域は、夏は温暖で冬は比較的冷え込むため、果樹の生育に適した環境となっています。こうした自然条件を活かし、豊野町では梨のほかにも柿やぶどうなど多様な果樹が栽培されています。

県南の球磨地域では、人吉盆地を中心に梨の栽培が行われています。球磨川は日本有数の急流として知られ、その流域には豊かな水資源と肥沃な土地が広がっています。特に球磨村の中心地である一勝地周辺では、球磨川の流域を利用した農業が発展しており、梨の栽培も行われています。また、人吉盆地の南部に位置する錦町周辺でも梨の生産が盛んで、盆地特有の気候条件を活かした果樹栽培が地域の農業を支えています。

このように熊本県では、県北の丘陵地から県南の盆地地域まで、それぞれの地形や気候に適した形で梨の産地が形成されています。菊池川流域や金峰山周辺、八代平野の山麓、そして人吉盆地など、地域ごとの自然条件を生かした栽培が行われており、熊本県は九州でも有数の梨の産地の一つとなっています。