
熊本みかん・中川英幸果実(熊本市西区河内町)(左中上)
河内みかん(熊本市西区河内町)(左中下)
こだわりみかん・中村農園(熊本市西区河内町河内・塩屋)(左最下)
青島みかん・岡本青果(玉名市天水町立花)(右上)
天水みかん・柑橘出荷組合(玉名市天水町)(右中央)
蜜柑・二代目(玉名市天水町)(右下)

山鹿不動園みかん(山鹿市)(左上)
とくさんクラブ三角会みかん・中九州青果市場(宇城市三角町)(右下)
原倉蜜柑(玉名郡玉東町)(左下)

肥後みかん(熊本市西区松尾町平山)(右上)
青島温州みかん・山本果樹園(八代郡氷川町)(中央)
EM使用みかん(熊本市西区河内町白浜)(左下)
キャッチyou みかん 木村農園(玉名市天水町小天)(右下)

きよたのみかん・清田果樹園(熊本市西区河内町河内)(左中央)
熊本みかん・村上農園(玉名市天水町)(左下)
天水みかん(玉名市天水町)(右上)
河内みかん・内田果樹園(熊本市西区河内町大多尾)(右中央)
熊本みかん(熊本県産)(右下)

中生みかん・黒箱・山田青果卸売市場(熊本県産)(左)
青島みかん・緑箱・山田青果卸売市場(熊本県産)(右下)

熊本みかん(熊本県産)(左上)
熊本みかん(熊本県産)(右下)
くまもとみかん(熊本県産)(左下)

JAたまな・くまもとハウスみかん(玉名市・荒尾市・玉名郡産)(右)

| 集落・地区 | 経営体数(2020年) |
| ①河内村(熊本市西区河内町) ※河内・白浜・船津 | 311 |
| ②小天村(玉名市天水町) | 267 |
| ③山北村(玉名郡玉東町) ※上白木・二俣・白木・西安寺・原倉 | 199 |
| ④芳野村(熊本市西区河内町) ※大多尾・野出・岳・東門寺・面木 | 151 |
| ⑤玉水村(玉名市天水町) ※部田見・立花・竹崎・野部田・尾田 | 122 |
| ⑥松尾村(熊本市西区) ※松尾町平山・松尾町近津・上松尾町 | 81 |
| ⑦大岳村(宇城市三角町) ※里浦・手場・大口 | 79 |
| ⑧網田村(宇土市) ※網田・長浜・下網田・戸口浦・赤瀬 | 61 |
| ⑨三角(宇城市三角町) ※三角浦・波多・大田尾 | 59 |
| ⑩深海村(天草市・旧牛深市) ※天草市深海町 | 42 |

熊本県北部の金峰山周辺と宇土半島に経営体数が多いみかんの生産地が集積している。温暖な沿岸気候と水はけの良い傾斜地条件が重なり、県内でも有数の産地が形成されている。
河内みかんは、金峰山山麓西側の急斜面に広がる段々畑で栽培されています。有明海から吹き上げる潮風、干潟や海面からの反射光、そして石垣が蓄える反射熱が相乗的に作用し、果実の成熟を促します。水はけの良い傾斜地で適度な樹勢が保たれることで糖度が高まり、コクのある味わいに仕上がるのが特徴です。歴史的にも古くから続く産地であり、熊本県内でも特に評価の高い地域といえます。

天水みかんが有名な天水町は小岱山西麓の急斜面に広がり、眼下には有明海が開けます。海からの反射光と長い日照に恵まれたこの地形は、現在は温州みかんの主要産地となっています。段々畑の続く山道を登り、海を見下ろす景観は、夏目漱石が書いた『草枕』冒頭の「山路を登りながら」という一文と重なります。
漱石は明治29年にこの地を訪れ、小天温泉に滞在しました。作中に登場する「那古井(なこい)」の温泉は、この小天温泉をモデルにしたものと考えられています。漱石が描いた「非人情」の世界は、単なる思想ではなく、この海と山が接する静かな地形の体験から生まれました。
そして同じ斜面では今も天水みかんが育てられています。文学の舞台と農業の風景が、百年以上変わらぬ地形の上で重なっていることこそ、天水という土地の特質といえるでしょう。
三角みかんは、宇城市三角町の宇土半島の先端部で栽培されています。北側に有明海、南側に八代海、西側に天草諸島を望む地形で、三方の海から潮風を受けやすい環境にあります。三大産地の中では最も南に位置するため比較的温暖で、寒害の影響を受けにくいことから甘味が乗りやすい傾向があります。海に囲まれた立地による温暖な海洋性気候のもとで育つ三角みかんは、やわらかな甘さとまろやかな味わいが特徴です。
このように、熊本県の温州みかんは有明海沿岸の地形と海洋性気候を最大限に活かした産地構造の中で育まれています。急斜面による排水性、海面や干潟からの反射光、潮風がもたらす微細な環境変化が複合的に作用することで、熊本ならではの力強くも繊細な味わいが形成されています。
