鹿本地域(かもとちいき)は、山鹿市と熊本市北区の植木町を中心とする地域です。この地域は、肥沃な土地と阿蘇から流れる清流、温暖な気候など、農作物の栽培に非常に適した条件が整っています。そのため果物の生産が古くから盛んで、特にスイカの名産地として全国的にも知られています。

八千代座(山鹿市山鹿)
鞠智城(山鹿市菊鹿町)

鹿本地域の市区町村・中心都市

  • 鹿本郡
    • 山鹿市(山鹿・鹿北・菊鹿・鹿央・鹿本)
    • 熊本市北区(植木町)
  • 行政の中心:山鹿市(鹿本地域振興局所在地)
  • 経済の中心:山鹿市山鹿
  • 交通拠点
    • 主要駅:植木駅(熊本市北区植木町)
    • バス停留所:山鹿バスセンター(山鹿市山鹿)
    • 高速道路:
      • 九州自動車道:植木IC(熊本市北区植木町)

山鹿市

山鹿温泉街(山鹿市山鹿)
(国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)
鹿本町来民(山鹿市鹿本町)
(国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)
山鹿灯篭(山鹿市)
八千代座(山鹿市)
鹿央町・米野岳
(国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)
鹿北町・四丁
(国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)
菊鹿町・内田

熊本県の北部に位置する山鹿市は、豊かな自然と古くからの文化が息づく風情あるまちです。熊本市から車で約1時間、北側には福岡県や大分県と接する広大なエリアに広がっており、南部は穏やかな盆地、北部は標高1000メートル級の山々が連なる山地となっています。市の中心を流れる菊池川の流域には古墳が数多く点在しており、特にチブサン古墳をはじめとした装飾古墳群は全国的にも知られています。歴史的にも古く、奈良時代の文献にも「山鹿」という地名が登場しており、長い時間をかけて育まれてきたまちであることがわかります。

江戸時代には豊前街道の宿場町として栄え、参勤交代の一行が行き交う重要な交通の要衝としてにぎわいました。この時代に整備された町並みは、現在も中心部にその面影を残しており、石畳の道や歴史ある建物が地域の風景を彩っています。また、国の重要文化財にも指定されている芝居小屋「八千代座」は、明治時代に建てられた由緒ある建築で、現在も歌舞伎や演芸、音楽イベントなどが行われており、山鹿のシンボルのひとつとなっています。

市内には「さくら湯」をはじめとした温泉地が点在しており、山鹿温泉、平山温泉、鹿本温泉、熊入温泉、菊鹿温泉、鹿北温泉の六つの源泉地は「六湯郷(ろくとうきょう)」と呼ばれ、湯治や観光で訪れる人々を癒しています。温泉はとろみのあるやわらかな泉質が特徴で、美肌の湯としても人気があり、日帰り入浴施設から宿泊施設まで幅広く整備されています。

夏の風物詩として知られる「山鹿灯籠まつり」は、全国的にも有名なお祭りです。毎年8月、女性たちが金銀の和紙で作られた灯籠を頭にのせ、「よへほ節」にあわせて踊る幻想的な姿は、訪れる人の心を強く打ちます。この灯籠はすべて紙と糊だけで作られており、熟練の職人の技が光る伝統工芸品です。まちはこの祭りを通して地域の誇りと美意識を次世代へと伝え続けています。

また、山鹿市は農業も盛んで、栗や茶、柿などの特産品が各地で栽培されています。特に山鹿和栗は大粒で甘みがあり、和菓子などへの加工品としても人気があります。そのほか、来民の「渋うちわ」や地元産の天然素材を使った民芸品なども地域の魅力として知られています。

2005年には山鹿市に加え、鹿本町、鹿北町、鹿央町、菊鹿町が合併し、現在の山鹿市が誕生しました。それぞれの旧町は「市民センター」として機能を維持しながら、地域ごとの特性を生かしたまちづくりが続けられています。教育面では市内に複数の高校や中学校、小学校があり、自然や伝統文化を生かした教育活動が行われています。

交通については、鉄道の駅はありませんが、国道3号や県道、バス路線が充実しており、熊本市や玉名市、南関町などとの行き来もスムーズです。また、地域内では乗合タクシーやジャンボタクシーの運行もあり、高齢者や買い物弱者への移動支援としても役立っています。

山鹿市は、観光だけでなく、暮らしやすさを備えた地域としても注目されています。温泉地としての魅力、歴史的な資源、そして人々の温かさに触れることで、訪れる人に深い印象を与えるまちです。今後も伝統と自然の調和を大切にしながら、持続可能な地域づくりを進めていくことでしょう。

熊本市北区

植木町(熊本市北区)
(国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成)
田原坂(熊本市北区)
植木温泉(熊本市北区)

熊本市の北部に広がる北区は、市内でもっとも広い面積を持つ行政区として知られています。この地域は、かつて植木町や清水村などの自治体で構成されていた歴史をもち、2010年の植木町合併を経て現在の北区のかたちとなりました。熊本市の中央区や西区、東区と接しているほか、玉東町や山鹿市、菊池市、合志市、菊陽町といった周辺の自治体とも境を接しており、交通や経済の要衝としての役割も担っています。

区の中心を流れるのは井芹川や坪井川、白川といった河川で、これらの豊かな水系が地域の農業を支えてきました。特に、夏の風物詩として全国に知られる「植木スイカ」は北区の代名詞ともいえる存在で、甘みと瑞々しさを兼ね備えた逸品として高く評価されています。ほかにもメロンや野菜の栽培が盛んで、農産物の直売所や観光農園では、地元の恵みを楽しむことができます。

また、北区は歴史の舞台でもあります。西南戦争の激戦地として知られる田原坂には、弾痕が残る建物や史跡が保存され、平和への祈りを込めて多くの方が訪れます。歴史や伝統を今に伝える施設としては、熊本国際民藝館もあり、地域の文化や工芸を深く知ることができます。

交通面では、JR鹿児島本線や豊肥本線、熊本電鉄が区内を走り、中心市街地や近隣市町へのアクセスも良好です。北区内には田原坂駅や植木駅、西里駅、竜田口駅、武蔵塚駅など複数の駅が点在しており、通勤・通学や観光に便利な路線網が形成されています。自動車での移動においても、九州自動車道の植木インターチェンジや北熊本スマートインターなどが整備されており、物流の拠点としても重要なエリアです。

教育環境にも恵まれており、公立の小中学校や熊本北高校、熊本保健科学大学、崇城大学(薬学部・芸術学部)などの教育機関が立地しています。地域全体として子育てや学びを支える体制が整えられており、静かな住宅地と利便性の高い商業エリアが共存するバランスの取れた暮らしやすいまちです。

産業面では、フジバンビやフンドーダイ、KMバイオロジクスといった地元を代表する企業の本社・拠点があり、地場のものづくりや食品産業、医薬関連の研究開発も活発です。こうした企業活動と地域の生活が調和し、地域経済の安定を支えています。

さらに、文化や自然を楽しむスポットも豊富です。フードパル熊本では、地元の食文化や加工品に触れながら、子どもから大人まで楽しめる体験施設が揃っています。また、四季折々の風景を楽しめる公園や散策路も多く、地域住民の憩いの場として親しまれています。

北区は、都市機能と農村の魅力が共存する地域として、これからも持続可能で豊かなまちづくりを目指して発展していくことでしょう。歴史、文化、自然、暮らしやすさのすべてを兼ね備えた熊本の北の玄関口、それが北区です。

鹿本地域の代表的なフルーツ

山鹿市では伝統ある菊池川流域の豊かな土壌を活用した農業が盛んで、特にメロンやスイカは甘くてジューシーな味わいで人気です。また、熊本市北区の植木町は日本有数のスイカの産地として知られ、甘味が濃厚でシャリ感が良く、多くのファンに愛されています。

  • 大玉スイカ
  • 小玉スイカ(ひとりじめなど)
  • メロン(肥後グリーンメロン、アールスメロン)
  • みかん
  • イチゴ
  • ぶどう(シャインマスカットなど)